SDGsの取り組みやその内容について
いよいよ約1年後に迫った大阪・関西万博。
今回は2025年の大阪・関西万博でSDGsに関してどのような展示や取り組みが行われることになっているか、ご紹介して参ります。
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■そもそも、万博とは? |
既に皆様ご存じの通り、「2025年日本国際博覧会(略称:大阪・関西万博)」が、2025年4月13日(日)から10月13日(月)の184日間にわたり、夢洲(大阪市此花区)にて行われます。
万博は「万国博覧会」の略称。博覧会とは生産品や見本品を一カ所に集めて展示するイベントを指し、この博覧会を世界規模で行うのが万国博覧会です。
国際博覧会(万博)には180年近い歴史があり、起源は19世紀半ばに遡ります。
世界初の万博は1851年に産業革命発祥の地である英国・ロンドンで開かれました。
当時の先端技術や、世界各国から集められた文物が展示され、最大の目玉が会場となった「水晶宮」と呼ばれる建物。当時としては珍しい全面ガラス張りで大きな評判を呼びました。
日本で初めて開催された1970年の大阪万博は、アジアで初の万博でもありました。
高度成長期という時代にも恵まれて、過去最多の6421万人が訪れました。この記録は上海万博(7309万人)まで破られませんでした。
尚、2025年万博の略称が「大阪・関西万博」となっているのは、広く知られているこの、1970年の大阪万博と区別しやすくしたとのことです。
現在、万博は5年に一度開かれる決まりになっており、前回はコロナ禍で1年延期されたドバイ万博で中東発の万博でした。
次回はサウジアラビア・リヤドが開催地として決定しています。
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■注目される55年ぶりの大阪開催 |
みなさんに広くしられる1970年の大阪万博では、「太陽の塔」が建設され、「世界の国からこんにちは」というヒットソングも生まれました。
展示内容も「月の石」や、当時としては画期的だった「ワイヤレス・テレフォン」など、多くの人の記憶に残るものでした。
多くの人々にインパクトを与えた万博が55年ぶりに大阪で開催されるとあり、注目を集めています。
2025年の大阪・関西万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」。
コンセプトを「未来社会の実験場」とし、持続可能な社会を国際社会が協力して構築することを目指しています。
大阪・関西万博が目指すものは「持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献」、「日本の国家戦略Society5.0の実現」です。
society5.0とは「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」のことを指します。
大阪・関西万博は、SDGsを2030年までに達成するためのプラットフォームとして役割を担うとともに、Society5.0の実現に向けた実証の場としての役割もあります。
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■大阪・関西万博のSDGs |
1970年の大阪万博で「パビリオン」という言葉が有名になりました。パビリオンとは、展示会や博覧会などに用いられる仮設の建築物、展示会を指します。
2025年の大阪・関西万博では、パビリオンの出展者はSDGsの17の目標から必ず1つは展示に盛り込み、どの目標と結びついているのかを明示しなければなりません。
2025年の万博で行われる予定の展示や取り組みについて、いくつか紹介します。
■空飛ぶ車
(出典:関西電力株式会社)
これまで映画や漫画の中で描かれてきた空飛ぶ車。2025年の万博での運行開始を目標に開発が進められています。
関西電力株式会社、株式会社SkyDrive、株式会社大林組、近鉄グループホールディング株式会社、東京海上日動火災保険株式会社の5社が万博会場内や周辺を結ぶ交通手段として空飛ぶ車を開発しています。
空飛ぶ車は電気で動き、CO2を出さない乗り物として注目されています。さらに、緊急時には動く蓄電池として必要な場所に電気を運ぶという使い方も可能です。
■水素燃料電池船
(出典:関西電力株式会社)
空飛ぶ車の開発に携わる関西電力株式会社は、水素を燃料にして動く船の開発にも携わっています。この船の最大の特徴は、化石燃料と違い航行時にCO2を排出しないという点です。
万博開催中に、会場と大阪市内の観光地を結ぶ旅客船としての運行を目指しています。
■人間洗濯機
(出典:日本経済新聞)
1970年の大阪万博で三洋電機(現パナソニック)が展示した「人間洗濯機」が注目を集めましたが、2025年の万博にも登場の予定です。
シャワーヘッドを手がける株式会社サイエンスは、ファインバブルという微細な泡の技術を活用した人間洗濯機を展示します。
ファインバブルは、粒径が100マイクロメートル未満の気泡で、界面活性作用や衝撃作用など大きな泡には無い特徴をもっています。この特徴をうまく利用することで、節水や水質浄化などの効果を発揮する為、SDGs達成に有効な技術として期待されています。
■リサイクルの促進と廃棄物の排出抑制
脱プラスチックやリサイクルの流れが強まっていますが、もちろん万博会場においてもリサイクルの促進と廃棄物の排出抑制の取り組みが行われる予定です。
会場内では警備への影響も検討しつつ、飲料の持ち込みを推奨する方針です。
食品ロスの観点から、入場予約数に応じた食料の調達の仕組みや余った食材の寄付も検討されています。
[食器]フードコートなどでリユース食器や使用後に堆肥かできる食器を利用
[マイボトル]持ち込みの推奨を検討。ペットボトルの販売を容認
[食品ロス]入場券の予約数に応じて調達調整。余った食材をフードバンクに渡る仕組み検討
[ノベルティー]プラスチック使用の削減を呼びかけ
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SDGsの目標達成の可能性を少しでも高めるために、あらゆる規模を拡大し、加速する必要があります。そんななかで開催される2025年の大阪・関西万博の意義は、ますます高まっていると言えるでしょう。
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