>> メタバースをわかりやすく
2022年の注目ワードより、今回は「メタバース」を取り上げてみたいと思います。
なんとなく聞いたことはあるけど・・・、という方も多いと思います。
「メタバース」をわかりやすく、解説してみましょう。
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■メタバースとは? |
メタバースは『仮想空間』を意味します。
しかし、その意味は抽象的でぼんやりとしたイメージですよね。
具体的に言うと、コロナ禍で世間を賑わせた「あつまれどうぶつの森」略して「あつ森」。
「あつ森」は個性豊かなどうぶつ達と、新たな住民として引っ越してきた「あなた」が生活する、ひとつのメタバースです。
つまり、メタバースとは現実世界に体がありながらも、仮想空間で「あなた」が行動できる空間のことです。
メタバースとは、
メタ(meta)+ユニバース(universe)の合成語になります。
メタ(meta)とは、「あとに」「超越した」「高次の」という意味を持つ言葉。
ユニバース(universe)とは、「宇宙」「集団」「全世界」「活動領域」という意味を持つ言葉。
単純にあわせると、「別の宇宙」「高次元の空間」になり、これがいわゆる「仮想現実」という意味に繋がってきます。
「メタバース」その語源は?
アメリカのSF作家 ニール・スティーヴンスン(Neal Stephenson)が書いた「スノウ・クラッシュ(Snow Crash)」という作品の中に出てくる電脳空間やインターネット上の仮想世界が語源と言われています。
近未来のアメリカが舞台で、主人公は現実世界ではピザの配達人でメタバース空間では世界最高の剣士 という設定の小説です。
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■メタバースの利用例 |
実際に私たちの周りでメタバースはどのように利用されているのでしょうか。
○オンライン会議 ○ゲームでの利用 ○バーチャルライブ
それぞれの利用について詳しく見ていきましょう。
○オンライン会議
メタバースの技術はオンライン会議で使われています。
今までのZOOMなどと異なり、メタバースでは自身が仮想空間にアバターなどの姿で赴き、そこで話し合いをするようになります。
VRなどを装着すれば、仮想空間にいるはずなのに目の前にはパソコンが置いてあり、そのパソコンの操作もできるようになります。
VR空間を利用することで、あたかも同僚と隣で仕事をしているような気分になれます。
○ゲームでの利用
いわゆるオープンフィールドと言われるゲーム世界においては、ロード時間が削減され、自身が操作するキャラクターがゲーム世界を歩き回ります。
かつてはゲームの活動範囲の狭かったフィールドが、現在ではとても広くなっているのが特徴です。
○バーチャルライブ
ゲームでの利用と似ていますが、バーチャルライブでもメタバースが活用されることがあります。
今までの3Dでのライブの場合には、あくまでもそのライブ空間をまるで現実世界のように見れるというメリットがありましたが、同じ空間・時間を共有している「共感覚」はありませんでした。
しかし、メタバースを活用すると「共感覚」を楽しむことができます。
例えば「フォートナイト」というゲームではメタバースを活用し、同ゲーム内でEDMのコンサートをコンサートと実施しています。
※EDMとは、Electronic Dance Musicの略で、電子音楽のことです。シンセサイザーやシーケンサー等を用いて演奏されます。
メタバースを活用することで、臨場感のあるリアルタイムの「ライブ」を楽しむことができるようになります。
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■メタバースのメリット |
今、メタバースが注目を浴びている理由として、以下2点があげられます。
○オンラインでの接触 ○メタバースによる新しいビジネスの実現
○オンラインでの接触
今まで難しいと言われていた、オンラインでの接触がメタバースで可能になります。
例えば、ZOOMなどのウェブ会議システムでは、若干の間や身振り手振りが見えないという障害がありました。
また、その若干の間による気まずさや、誰が話しているのか分からないといった問題で、オフラインの会議と比べると生産性が落ちることが多々ありました。
こうした問題をメタバースでは解決できます。
例えば、VR技術と掛け合わせれば、まるで相手が目の前にいて話している空間が構築されますので、接触空間で会議をしている感覚を味わえます。
○メタバースによる新しいビジネスの実現
今話題のNFT作品などは、OpenSeaなどのNFTプラットフォームを活用して販売をするのが一般的ですが、自身で作成したメタバース上でも販売ができるようになれば、顧客との会話による値段交渉などが可能になります。
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■メタバースの注意点 |
メタバースはもちろん、良い点ばかりではありません。
解消する必要のあるデメリットや注意点も見てみましょう。
○VRの準備が面倒 ○メタバース空間への依存 ○ウォレットの脆弱性
○VRの準備が面倒
VRを活用するメタバースの場合、VRの準備が面倒という声が上がっています。
特にZ世代からは、わざわざメタバース上で交流をする必要性が不明だという声も上がっており、普段のオンライン会議とメタバース会議の棲み分けを明確にする必要がありそうです。
○メタバース空間への依存
メタバース空間に依存する可能性があるのもデメリットです。メタバースは没入感が高いため、「一度その空間にはまってしまうとなかなか抜け出せない」という指摘もされています。
常にメタバースに入り込み、どちらが現実かわからなくなってしまわないよう注意が必要です。
○ウォレットの脆弱性
ウォレットの脆弱性についても注意する必要があります。OpenSeaを通してNFTを購入する際や、ゲーム内での仮想通貨を使用する際は、現在「ウォレット」と呼ばれる仮想の財布を使う必要があります。
但し、今までにウォレットはハッキングの対象となったことがあり、事実仮想通貨を盗まれてしまった事件も過去発生しています。より、セキュリティに留意したウォレットのバージョンアップが必要になるかもしれません。
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■メタバースは法律が未整備 |
現在、メタバースは少しずつ認知を集めていますが、まだ課題が多く残っています。
「法律の問題」です。
例えば、メタバース上で私たちは建築物を建てることができますが、そこに建築基準法は適応されません。
また、日本の民法は原則、物理的な「もの」にしかその対象範囲を定めていないため、「所有権」がメタバース上では認められません。
このため、仮にメタバース上で唯一無二の「デジタルデータ」、NFTが盗まれてしまった場合にはその返還を求めるのが難しいのです。
経済産業省は2021年7月に、企業が「メタバース」に参入する際の法的な問題を「仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業」にまとめましたが、法的リスクがまとめられているだけで、具体的な解決策は明示されていません。
このため、メタバースを運営する企業に「ユーザーが安心して使える仕組みづくり」が求められていますが、メタバース運営企業の中にはスタートアップ企業も多く、上記の問題を全て解決することは難しいのが実情です。
(※内容は一部「識額総研」より抜粋)
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メタバースの市場は今後さらなる拡大が見込まれています。アメリカの通信社Bloombergによれば、2020年のメタバースの市場規模は約4800億ドルでしたが、2024年には約7800億ドルにまで拡大していくものと予想されている、とのことです。
(引用:ブルームバーグインテリジェンス「Metaverse may be $800 billion market,next teck platform」)
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