>> その意味や風習について
2021年は12月22日が『冬至』です。
『冬至』は一年で最も昼の時間が短くなる日。今回はその意味と日本の風習についてご紹介しましょう。
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■『冬至』の意味 |
冬至は、夏至や春分、秋分などと同じく「二十四節気」の一つです。二十四節気とは、一年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けたもので、季節を表す言葉として使われています。その中で、北半球では一年を通じて一番夜が長い日が冬至にあたります。日照時間が一年でもっとも短く、この日を境に再び日が長くなることから、太陽の力がもっとも衰える日や太陽が生まれ変わる日として捉えられ、世界各地でさまざまな風習が伝わっています。
ちなみに、日本では一年を通じてもっとも昼が長い夏至とは昼間の時間がなんと5時間ほども異なるのだそうです。
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■『冬至』の日程の決まり方 |
今年2021年の冬至は12月22日ですが、冬至は毎年同じ日というわけではありません。12月22日前後で年によって異なります。冬至の日程は、「定気法(実気法)」という計算式を利用して決められています。これは、天保暦から採用された二十四節気の定め方で、太陽の天球上の通り道である黄道を15°ごとに24等分する方法です。時間で24等分する「平気法(恒気法/常気法)」とは異なり、地球と太陽の位置関係から決定されるため、節気間の間隔は一定ではありません。
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■『冬至』に行われる習慣 |
◆かぼちゃ
冬至といえば、「かぼちゃ」を食べる習慣がありますが、なぜ「かぼちゃ」なのかご存じですか。
冬至の日に「ん」の付くものを食べると運がつく(運盛り)と言われており、冬至の七種(とうじのななくさ)と呼ばれるものがあります。
・南瓜(なんきん)=かぼちゃ
・蓮根(れんこん)
・人参(にんじん)
・銀杏(ぎんなん)
・金柑(きんかん)
・寒天(かんてん)
・饂飩(うんどん)=うどん
中でもかぼちゃは漢字で「南」という字がつき、陰(北)から陽(南)に向うことを意味するため、縁起の良い食べ物とされています。昔は冬に緑黄色野菜が採れなかったため、夏や秋に採れた緑黄色野菜で漬物や干し野菜を作り保存していました。かぼちゃは栄養が不足しがちな冬にそのまま保存できる貴重な野菜として食べられていたことから、冬至にかぼちゃを食べる風習が生まれました。そして現在も受け継がれています。
かぼちゃにはβ−カロテンが豊富に含まれています。β−カロテンは体内でビタミンAに変換され、抵抗力を強めて皮膚や粘膜を丈夫にしたり、免疫力を正常に保つ働きがあります。そのため風邪の予防に効果的です。なお、β−カロテンはかぼちゃの果肉よりも皮やワタに多く含まれるため、よく洗って皮ごと使用するのがおすすめです。
◆柚子湯
また、冬至の習慣として、かぼちゃと並んで思い浮かぶのが、「柚子湯」ではないでしょうか。
柚子湯は冬至の日に行う禊(みそぎ)の風習です。
冬至に柚子湯に入るのは、運を呼び込む前に体を清めるという意味があります。
冬が旬の柚子は香りも強く、強い香りには邪気がおこらないという考えがありました。また、柚子は実るまでに長い年月がかかるので、長年の苦労が実りますように、との願いも込められています。
柚子湯には血行を促進して冷え性を緩和したり、体を温めて風邪を予防する効果があります。さらに果皮に含まれるクエン酸やビタミンCによる美肌効果、芳香によるリラックス効果もあり、元気に冬を越すために大いに役立ちます。
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■世界の『冬至』の過ごし方 |
【アジア】
中国では冬至はとても大切にされていて、餃子や餡入り餅、小豆を似たぜんざいのようなものを食べる風習があるそうです。台湾や中国の南部では「湯圓」(たんゆえん)というお団子のような料理を食べるのが伝統です。韓国では悪い気を払う効果があるとされる小豆粥を食べる風習があります。
【ヨーロッパ】
現在では、冬至だけのイベントというよりも、クリスマスとまとめて祝われる傾向にあります。クリスマスの起源の一つは、かつて古代ローマ帝国で信仰されていた太陽神、ミトラ教の冬至にあるとされています。ミトラ教では、冬至で死んだ太陽の復活を祝うお祭りが12月25日に行われていました。冬至に死と復活を繰り返す太陽の誕生日とキリスト教が結びついて、現在のイエス・キリストの生誕を祝うクリスマスになったのだそうです。また、北欧諸国でも「ユール」という冬至祭が行われ、ユールで薪を燃やして悪霊を払う行事が行われていた名残が、現在でもおなじみのクリスマスケーキ ブッシュ・ド・ノエル(薪の形のケーキ)となって残っています。
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一年で一番昼が短くなる日、冬至。この日を境に日照時間が再び長くなっていくことから、太陽が力を取り戻す重要な日とされています。昔から伝わってきた冬至の風習には、今みても健康の維持などに効果のあるものが残っています。今一度、古くからの風習を見直して冬至の日を過ごしてみませんか。
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