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■□□気になるワード『アップサイクル』
 アップサイクル(イメージ画像) >> アップサイクルとは?

近年、日本でも環境負荷の軽減を重要視する企業や団体が多くなったことから、Recycle(リサイクル)だけでなく、Upcycle(アップサイクル)というワードが注目されています。
今回は気になるワード『アップサイクル』についてご紹介致します。

■『アップサイクル』とは?

アップサイクル(Upcycle)とは、リサイクルやリユースとは異なり、もともとの形状や特徴を活かしつつ、古くなったもの、不要だと思うものを捨てずに新しいアイデアを加えることで付加価値を持たせ、別の新しいものにアップグレードして生まれ変わらせることです。

耐用年数を越えたソーラーパネルをテーブルとして利用したり、擦り切れたタイヤをカバンに作り変えたりと、アップサイクルは家具業界からファッション業界など、さまざまな業界で注目されています。

ちなみに、アップサイクルと対をなす概念としてダウンサイクルがあります。元のものより価値が上がるのが『アップサイクル』、着なくなったTシャツを雑巾にする(価値が下がる)のが『ダウンサイクル』です。

  
■『アップサイクル』と『リサイクル』の違い

アップサイクルは単純な「再利用」や「リサイクル」とは異なります。
アップサイクルは、これまでのリサイクルのように「原料」に戻すのではなく、元の製品として「素材」をそのまま活かす手法です。

リサイクルは原料に戻したり、素材に分解したりする際にエネルギーが使用されるのに対し、アップサイクルはそのままの形をなるべく活かすため、地球への負荷を抑えることができます。また、単なる再利用のリユースとも違い、別の製品として生まれ変わらせることで、その寿命を長く引き延ばすことができる可能性があります。
そのため、リサイクルよりもサステイナブルである、とされています。

現在、「リサイクル」や「リユース」などの循環システムがありますが、実際にはリサイクルされた材料やリユース品の需要は低く、回収ができても、それを出荷できていない現状があります。
また、リサイクルとして再資源化はできるけれど、資源化にコストがかかるため、埋め立てなどで廃棄されている実情も。そういった実情を『アップサイクル』が救う1つの手段になる可能性があります。

  
■日本におけるアップサイクル

東京都立産業技術大学院大学が2020年9月に実施したアップサイクルに関するアンケート調査(N=452人)によると、リサイクルという言葉の認知度は98%であるのに対し、アップサイクルという言葉の認知度は45.7%に留まる結果となりました。
しかし、アップサイクルの内容を説明した上で、「アップサイクルは必要か?」という質問に対しては、91.7%の方が「必要」だと感じており、言葉の認知度と必要性への意識に大きなギャップが見られました。

日本で古く鎌倉時代から人糞を発酵させ肥料に変えることで有価物として取引を行っていました。また、綿や絹が貴重であった江戸時代には、着古した綿布や絹布を裂いて繊維に戻し、それを安価な麻糸と織り上げて“裂織”という織物に生まれ変わらせるなど、アップサイクルは身近なこととして行われていました。意識せずに「アップサイクル」を行っていることも実はあって、改めて見直してみると『アップサイクル』といえるものが世の中には多くあると思います。


 
■アップサイクルの例

■フライターグ(FREITAG)
中古のトラックの幌(ターポリン)と捨てられた自転車のチューブとシートベルトを使った自転車用のメッセンジャーバッグに始まり、そのビジネスは世界規模で成功しています。全てが一点物でハンドメイド。エコロジー、ロングライフといったエシカルな観点だけでなく、創業者であるフライターグ兄弟の哲学を反映して、ストリート、ヘビーデューティー、ユーモアといった感覚も色濃く表現されているブランドです。

■シール(SEAL)
こちらもバッグなどを手掛けるブランドで、素材として不要になったタイヤのチューブなどが使用されています。これらの丈夫な素材をもとに、国内の優れた縫製技術によって、素材の面白さを活かしたバッグを製作。黒を基調としたブリーフケースなどビジネスユース可能なバッグから、ショルダーやリュックタイプまで、不要なタイヤチューブを見事にアップサイクルさせて魅力的な製品を開発しています。

■ウィーウッド(WEEOOD)
大型家具やフローリング材をつくる際の端材を文字盤やベルト部分に使用。100%天然木を使用した、イタリア・フィレンツェ生まれの腕時計のブランドです。ウッド独特の風合いを存分に活かし、洗練されたデザインで人気を集めます。さらにウィーウッドは、腕時計を購入してもらうごとに木を一本植樹するなど、環境保全の取り組みでも注目されています。

FREITAG写真(FREITAG公式インスタグラムより)


 

アップサイクルは、ごみの削減につながるだけでなく、自然界から資源を新たに取らないこと、リサイクルなどで素材に分解するためのエネルギーを消費しないことから、環境の保全にも貢献します。元の製品の特徴を生かしつつ、より価値の高いものを生み出すアップサイクルに取り組む企業がこれからさらに増えていくことを願います。


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