春は梅雨時や台風シーズンとは違い、大雨で河川が増水するケースは少なく
なります。ただ、河川が増水する原因はそれだけではありません。春は気温の上
昇により、山にたくさん積もった雪が解け出します。この雪解け水が、河川を増水
させる要因になるのです。
融雪期を迎える春、豪雪地帯周辺の川では、毎日数十ミリの雨量に相当する
雪解け水が流れ出し、最盛期には日雨量50ミリに達することも珍しくないと言わ
れています。このため、晴れて気温が上がると、雨が降っている時と同じように
川の水位が上昇することがあります。さらに、普段では影響が出るほどではない
少量の雨でも、雪解け水と合わさることにより、水位の急上昇につながります。
河川工事などにおいては、豪雨対策も必要ですが、川の上流部の積雪状況や
過去の異常出水についても調べておく必要があります。融雪による洪水が懸念
される場合は、河川内や河岸から退避する目安の雨量基準を下げておくことも
考えなければなりません。そのほか、山に近い現場では雪崩、雪解け水による
地すべりにも気を配る必要があります。
もちろん、アウトドアやハイキングなどレジャー計画を立てる上においても、こ
の融雪による水位の上昇など、十分注意が必要になります。
これらの災害は、気温の急激な上昇や雨の影響を大きく受けるため、気象情報
を見る際は、「雪解けが進む」「山沿いで雨が降る」といったキーワードを聞き逃さ
ないようにしましょう。
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