>>スポーツ選手の水分補給を学ぶ。
7月27日、いよいよ開幕したロンドン五輪。そして8月8日に開幕する全国高校野球
と、メディアで報じられるスポーツ選手の活躍が楽しみな日が続きます。一方、日本で
は全国的に連日猛暑が続き、熱中症患者のニュースを目にすることも多くなっています。
今回はその活躍するスポーツ選手達の水分補給について学んでみましょう。
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■スポーツと水分補給 |
水分は体の60%を占め、体内で溶媒、潤滑液、運搬液、そしてアスリートにとって特に
重要ともいえる冷却液としての役割など、人間が生命を維持するために欠くことのでき
ない要素のひとつです。にも関わらず、水分補給はスポーツの現場で恐らく最もおろそ
かにされている物の一つと言えるかも知れません。1日に摂取する水分がコーヒーや炭
酸飲料数杯、などという意識の低いアスリートも見受けられます。
また、以前は「運動中に水を飲むな」、「水を飲むとバテる」と言うような考えが指導者や
選手の間にあったことも事実です。
水分補給の不足は、熱中症の原因になるだけでなく、パフォーマンスレベルを落とすこと
にもなりかねません。運動中、体温が上昇すると、皮膚から発汗が始まり、汗が蒸発する
と共に熱も奪われて体温が下がります。しかし、体内に十分な水分が存在しないと、上
記の体温調節の機能が低下し、熱中症を引き起こす原因になります。
個人差はありますが、練習の前後で比較するとアスリートは発汗によって1〜2kg程度の
水分を失います。アメリカで行われた研究では体重の2〜3%の水分を発汗で失うと有酸
素性運動能力がおよそ10%下がるという結果も出ています。つまり、夏の暑い環境下で
水分を怠ることは熱中症の危険性が高くなるだけでなく、アスリートの有酸素性持久力も
低下してしまいます。
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■水分補給のタイミング
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「のどが渇いた」と感じた時点で、身体内の相当量の水分が既に失われています。のどの
渇きを感じる前にこまめに水分を補給しましょう。また、普段から練習の前後に体重を測る
習慣をつけましょう。この練習前後の体重差が運動中に失われた水分量の目安になります。
0.5kgの体重減には500ml(コップ約2杯分)の水分補給が必要です。できるだけ、失っ
た量よりも若干多めの水分を補給するように心がけましょう。
<例>体重を測定し、体重が2kg減った選手は、トータルで2リットル強の水分補給が必要。
トイレで排泄した尿の色をチェックすることも、体内の
水分チェックの目安となります。尿の色が薄ければ、
水分補給は適切であると言えますが、明るい黄色や
濃い黄色の場合は身体が脱水気味かもしれません。
その様な時には通常より多めに水分を摂りましょう。
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■補給する水分のタイプ
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発汗により水の他にミネラル類も失われるので、市販のスポーツドリンクを水で倍ぐらい
に薄めた物を飲むのが良いでしょう。市販のスポーツドリンクには、汗により失われるミ
ネラル等も入っているので効率よく補給できます。しかし、糖質もかなり多く含まれてい
るので、激しい運動時にあまり糖質の多い飲み物を飲むと吸収率が悪くなるので、水で
2倍〜3倍に薄めたものが適していると言われています。(糖質を摂るとインスリンの血
中濃度が上がり運動能力が低下します。)満腹時より空腹時のほうが運動能力が上が
るのは、選手の多くが経験したことがあると思います。
※ワンポイントアドバイス
・アルコール飲料は絶対に避けましょう。脱水状態を促進させてしまいます。
・炭酸飲料はできるだけ控えましょう。(炭酸飲料は糖分が多いため、血糖値が上がり
やすく、食欲が低下し必要分の食事が摂れなくなります。)
・暖かいドリンクよりも冷たいドリンクの方が飲みやすく、吸収も早くなります。(実験に
より3〜7℃、出来れば5℃位の温度が一番吸収が良いとされています。)
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■運動前・中・後の水分補給<具体例>
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◆運動開始30分前
ミネラルウォーター又は、倍くらいに薄めたスポーツドリンクを、30分位かけて、
500cc程度
◆運動中
15分おきに、ミネラルウォーター又は、倍くらいに薄めたスポーツドリンクを
50〜100cc(コップ1/2杯程度)
注:装具をつける競技(キャッチャー、アメフト、剣道など)は発汗量が多いので、
特にこまめに水分を摂るようにして下さい。
◆運動後
15分以内にコップ1〜2杯
(この時に運動中に失ったエネルギーを補給する意味で糖質も摂取できれば、より
好ましい。また、飲みすぎて食欲に影響が出ないように注意する。)
胃腸からの水分補給は、毎分25mlと限界があるため、特に夏期の練習、試合で発汗が
多いと思われる時は、こまめに摂水して下さい。
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■どのような条件化であっても3%以内の脱水にとどめましょう。 |
指導者の中には「水分補給のために練習が中断されるのではないか?」と言う不安、
疑問などがでてきますが、各競技によって方法は違っても、水分補給することにより
選手の競技力は確実に上がりますし、脱水により脳や筋の機能が低下するのを防ぎ
ます。これが、怪我の予防にもつながってくるのです。
※即座に練習を中止させるべき症状!!
・胸部、上腕部の立毛(とりはだ)
・悪寒(寒気)
・拍動性の頭痛(ずきずきする感じ)
・吐き気
・運動失調(ふらふら歩く)
・皮膚の乾燥(汗をかいていない)
・なまあくび
・体温の上昇(39℃)
・意識混濁
(※内容は「日本体育協会」より)
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オリンピックイヤーとなる今年。オリンピックの人気種目でもある「マラソン」や「球技」
など、運動量の多い競技スポーツへの関心も一段と高まっています。スポーツ選手
に限らず、スポーツをする場合は水分補給の量、タイミングなど意識して摂るように
努めたいものです。
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