■インフルエンザウイルスと季節
毎年、世界のどこかしらでインフルエンザは流行します。温帯以北では冬にはやり、
そのピークは北半球で1月から2月、南半球では7月と8月です。
日本では毎年11月下旬にはやり始め2月頃にピークに達し、5月に終息するのが
一般的ですが、時として夏にも感染患者が出ることがあり、流行の仕方は毎年それ
ぞれに異なっています。 |
■インフルエンザウイルスと温度湿度
インフルエンザの流行がいつも冬であることから、
長い間インフルエンザは季節性の感染症と思われ
てきました。詳しく調べると、季節によるというよりも
インフルエンザが拡散しやすい環境が冬場に多い
ために冬に流行するということが分かってきました。
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インフルエンザウイルスは、生物の体内で増殖します。
増殖に適した温度は鳥インフルエンザなら摂氏40℃、豚インフルエンザなら摂氏
36℃といえます。しかし、インフルエンザウイルスは空気中では増殖することは出
来ません。
もちろん他の個体への感染力を持つほどインフルエンザを発症した個体の近くに
いればどういう状況でもうつるおそれがあるのですが、感染が大きな流行に及ぶた
めには広い範囲でインフルエンザウイルスが大気中を浮遊、拡散する環境が必要
ということなのです。つまり空気中でもウイルスが長時間生きられる条件が整ってい
る時に大流行するということです。 |
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■ウイルスの生存条件
下のグラフは、Harper,G,Aによるインフルエンザウイルスの生存率と気温、湿度
の関係を調べたものです。
これによれば、インフルエンザウイルスは湿度50%以上ある環境で温度22℃以
上になると生存できず、湿度が20%以下であれば22℃以上の気温でも高い生存
率を維持することがわかります。
32℃以上になるといずれの湿度条件でもウイルスは死滅してしましますが、一
方で低温でもウイルス自体の活性は落ちているはずです。(もっともパワーがある
増殖できる温度は宿主となる生物の体温付近なので)。それでも冬場にインフル
エンザが流行するということは、冬場の低温乾燥した気候がウイルスの長距離飛
行を可能にするという大きな要因に加え、乾燥による喉の粘膜の荒れや体の免疫
力が落ちている時期であることが重なっているためと考えられます。
この結果から、感染を予防する方法としてよく言われる室内の加湿は理にかなっ
たことであり、日本においてインフルエンザは低温低湿の冬に流行り高温多湿の
夏には見られない理由もわかります。
インフルエンザの流行の最盛期は12月から1月といわれています。
効き目が現れるのは接種から2〜3週間かかりますので、早めの予防接種が
効果的です。
また、外から帰ったら、うがい・手洗いを習慣にしたいですね。
*内容は一部「インフルエンザに勝つ」より抜粋。
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