■循環のみち下水道賞とは
地球温暖化の進行や住民参画等による地域活性化への希求、また、老朽化施設の
急増など下水道を取り巻く情勢は大きく変化しており、持続可能な循環型社会の構築
に向け、今後の下水道には多様な使命と役割が期待されているところから、国土交通
省では「下水道ビジョン2100」を策定し、21世紀社会の下水道の基本コンセプトとして
「水のみち」、「資源のみち」の創出、「施設再生」の実現の3つの方針を打ち出してい
ます。国土交通省では、このような持続可能な循環型社会の構築に向けた全国の優良
事例を毎年、国土交通大臣賞「循環のみち下水道賞」として表彰しています。
(「水のみち部門」、「資源のみち部門」、「サスティナブル※活動部門」、「特別部門」の
4部門で構成。)
(※sustainable:持続可能性) |
■下水道ビジョン2100−下水道から「循環のみち」への転換
<基本コンセプト>−循環のみち
「地域の持続的な発展を支える21世紀型下水道の実現」
これまでの下水道機能に加え、持続可能な循環型社会の構築を図るため、健全な
水循環及び資源循環を創出する新たな下水道を目指す。
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■部門について
(1)水のみち部門
○水が本来有する様々な機能を活かす水循環の健全化に向け、水再生・利活用
ネットワークを創出するための取り組み
(事 例) |
・NPOや自治会と協働したせせらぎの形成・維持管理
・地域が一体となった健全な水循環のための取り組み
・他事業との連携やソフト・自助を含めた総合的な都市浸水対策 |
(2)資源のみち部門
○将来の資源枯渇への対応や、地球温暖化の防止等に向け、資源回収・供給ネット
ワークを創出するための取り組み
(事 例) |
・先進的な新エネルギー・省エネルギー対策
・地域ぐるみでのバイオマスの資源回収・活用の取り組み
・地域コミュニティー活動等の活性化に寄与する施設空間利用 |
(3)サスティナブル活動部門
○「水のみち」「資源のみち」の実現を支え、新たな社会のニーズに応える、サスティ
ナブル下水道を実現するための取り組み
(事 例) |
・新たな建設・維持管理技術の導入等によるライフサイクルコストの低減
に向けた取り組み
・地域の創意工夫を活かしたコスト縮減(民地を活用した露出配管など)
や独創的な接続促進方策等経営改善に向けた効果的な取り組み
・施設の耐震化に加え処理場空間を活用した地域防災の支援等を含めた
総合的な地震対策 |
(4)特別部門
○上記の3部門の他、特に先導的な取り組み
(事 例) |
・先進的な技術開発
・積極的な国際協力活動
・独創的な啓発活動 |
■富山県黒部市が第4回循環のみち「サスティナブル活動部門」を受賞
弊社環境事業部所在地である富山県黒部市の「PFI事業による下水汚泥のバイオ
マスエネルギー利活用」が第4回(平成23年度)循環のみち「サスティナブル活動部門」
を受賞しました。
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●黒部市の「PFI事業による下水汚泥のバイオマスエネルギー利活用」
汚泥(し尿などの下水道汚泥や農業汚泥)に事業系食品残渣(コーヒー粕)を混合
し、メタン発酵させることにより、下水道汚泥を安定的に処理し、発生したバイオガス
を場内の発電や設備の熱源などとして利用するというものです。
この事業は、民間資本を活用する「PFI方式(*)」で実施されており、実際の事業の
運営は、民間会社に委託されて行われています。
*PFI方式−.国や地方自治体の代わりに公共サービスの提供を委託させる方式。 |
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下水道は普段あまり意識することはありませんが、私たちの周りの水循環の一役を
担っている重要なライフラインの一つで、良好な住環境を守ってくれているものです。
下水道の今後の役割についても、私たち一人一人が注意深く見守っていく必要がある
でしょう。
*参考文献−「国土交通省」HPより
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