経済産業省が2009年秋に打ち出した次世代の「ZEB(ゼブ:ゼロ・エネルギー・ビル)」
構想を受け、民間の技術開発が本格化している。
■ゼネコンの挑戦
自然採光、太陽光発電、高効率空調、河川熱、地中熱などの活用、自然換気で夜の
外気採り入れ、LED照明、人感センサーなどの採用で外部からのエネルギー購入を
ゼロにするというもの。
また経済産業省は、「2030年までに新築の建物全体で正味のエネルギー消費をゼロ
にする」目標を掲げた。
このZEBの実現に向けた企業の取り組みが本格化している。特にビルを設計、施工
し、さらに完成後の運用までをサポートする大手ゼネコンは、自社がかかわる新築建築
物をZEBに近づけるための技術開発に余念がない。
清水建設は、現在、東京・京橋で本社ビルの新築工事を行っている。2011年秋に完成
予定のこのビルは、延床面積5万1800m2、地上22階、地下3階建て、高さ約110mの高層
建築物だ。最新の環境技術を結集して、東京都の平均的なオフィスビルに対し、床面積
1m2当たりの二酸化炭素(CO2)排出量を50%削減する目標を掲げている(CO2排出量の
ベースラインは、2005年の東京都における温暖化ガス排出量)。
■ZEB構想実現に向けて
日本のエネルギー消費は産業部門や運輸部門と比べ、ビルなどの業務分野の増加が
顕著。資源エネルギー庁は構想が実現すれば、年間8000億円規模の追加的な民間
設備投資押し上げ効果があると試算している。
ただ構想実現には飛躍的な技術革新と、設計手法の工夫、設備運転方法の改善など
が必要だ。不動産業界はビルの環境性能の高さを評価する公的な制度の整備や税制面
の優遇措置などが必要だと主張している。
(※日本経済新聞より)
【ZEBのイメージ図】
(※出所 経済産業省)
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