大量生産・大量消費・大量廃棄を基本とする社会構造が問い直され、資源の再利用・
再資源化を前提にしたリサイクル社会形成の推進が求められています。下水汚泥資源
の利用は社会の基盤を支え、「リサイクル社会の核」を担います。
■下水汚泥とは
|
各家庭から出た汚水(台所、洗濯、風呂、トイレなどの排水)は下水管を通って下水処
理場へと送られます。下水処理場では、活性汚泥法という方法で汚水が処理され、き
れいな水に生まれ変わり、自然へと帰されます。
活性汚泥法とは、まず下水に空気を送り込んで、 ある種の微生物を繁殖させ、水に溶
けている栄養分(有機物)まで全部細菌に食べさせてしまい、お腹いっぱいの微生物を
沈殿分離させ、きれいな水だけを川に流す方法です。その際に沈殿したものが下水汚
泥です。 下水汚泥は最終的には処分されるか、または、有効利用されます。 |
|
|
■汚泥の再利用
|
下水道の普及とともに増え続ける下水汚泥。埋め立てて処分するという従来の対応策
では、環境問題、埋立処分地の確保など多くの問題があります。そこで、汚泥を肥料や
レンガなどに再資源化する技術が注目を集めています。
|
|
エネルギー利用 |
汚泥の有機分解などによって発生するメタンを主とした消化ガスを発電用
燃料などとして利用しています。 また自動車の燃料や都市ガスとして供給しています。 |
緑地・農地利用 |
コンポスト化して、肥料や地力増進資材として農作物の生産力の維持に
役立てることができます。 |
建設資材利用 |
下水道工事の埋め戻しに利用される他、セメント原料、コンクリート、骨材、
ブロック、レンガ等の原料としても利用されています。 |
|
■汚泥施設はこんなことにも役立っています
汚泥の容量を減量させ、かつ、安定化させるために汚泥消化タンクを設けている処理場
があります。そのような全国の下水処理場の内、19の下水処理場では、汚泥の有機分解
などによって発生するメタンを主とした消化ガスを発電燃料として利用しているほか、余っ
た電力を周辺に配電などしています。また、多くの下水処理場では加温用ボイラーの燃料
として下水処理場内で利用しています。
●新聞記事より
「下水汚泥を植樹用肥料に/富山の技術で黄砂抑制(2010.8.25 北日本新聞)」
中国内陸部の砂漠に緑をよみがえらせようと、富山県立大の客員教授2人が、砂漠化が
進む内モンゴル自治区オルドス市に下水汚泥を有機肥料にする技術を提供し、年内にも
同市で肥料プラントを稼働させる。生産した有機肥料は来春から、植樹時に活用する計画。
中国大陸の砂漠化は日本海を越えて飛来する黄砂にも大きな影響を及ぼしており、2人は
「富山のリサイクル技術を砂漠の緑化と黄砂の減少につなげたい」と話している。
−計画では、下水汚泥を脱水して好熱細菌を加わえ、発行させる。汚泥内の植物繊維が
分解され、アンモニアや硝酸、ミネラルなど栄養分が生成される。一方大腸菌などの有害
微生物は発酵熱(約80度)で死滅する。有機肥料には有益微生物が発生しやすく、病害虫
を防ぐ効果も期待できるという。
汚泥は現在、すべて埋立処分されている。肥料として活用することで資源の循環サイクル
を確立し、処分場周辺の汚染防止にもつなげる。−
|
(※内容は一部「日本下水道協会HP」より抜粋) |