東京都が2010年から導入する、大規模事業所を対象とした温室効果
ガスの排出総量削減義務と排出量取引制度について -
2010年4月から導入される総量削減の義務化と排出権取引制度は、大規模
事業所が対象。
大規模事業所 : 燃料、熱及び電気の使用量が、原油換算で年間
1500kl以上の事業所
削減の義務者 : 当該事業所の所有者
削減義務の対象ガス : 熱量・熱・電気等の使用に伴って排出されるCO2(
特定温室効果ガス)
削減の基準となる排出量は、その事業所の3年間の平均排出量から設定さ
れる。すでに総量削減実績のある事業所の場合には2002年までさかのぼる
ことができるため、2002年から2005年の3年間の排出量を基準とすることが
でき、今後の削減義務量が軽減されることになる。
削減義務率に関しては、企業から集めたデータと東京都の温暖化ガス 削減目標
を達成するのに必要な取り組みの程度を考慮し、今年度末に は発表される予定。
「新聞等で義務率が15-20%という発表がされているが、これは2020年までの目安
として議会での説明に使用した数値。5年ごとの取り組みとなるため、仮に20%の
削減を2020年までに行うことになった場合、最初の5年と後の5年で均等に10%ず
つ削減を行うのか、最初の5年間は5%で後の5年間 で15%を削減するのかは未定」
(東京都環境局の説明)
削減は、必ずしも1事業所で達成しなければならないものではない。
他の事業所が義務量を超えて削減した量や、対象外の中小規模事業者の削減量
などを買い取る形で義務を達成することが認められる。これが 「排出取引」だ。
企業は事業所ごとでの削減に取り組みつつ、排出取引によって義務の達成を目指
すことになる。それでも削減義務が未達成となった場合にはペナルティとして、
義務不足量の1.3倍の削減を義務付ける措置命令が下される。
さらにその措置命令に違反した場合には罰金が科せられて氏名が公表さ れた上で、
都知事が不足量を調達した費用が請求されることになる。
【東京都の排出権取引制度の概要(案)】
項目 |
概要 |
対象事業所の
主な義務 |
@温室効果ガス排出量削減義務
A「削減対策計画書」「進捗状況報告書」等の提出・公表 |
早期取り組み等
への配慮 |
・取り組みが特に優れた事業所→削減義務水準を軽減
・現行制度で、既に総量削減実績のある事業所→
現行制度での削減実績を新制度での削減実績としても算入 |
削減義務の
履行手段 |
@基本は自らで削減:高効率なエネルギー消費設備・機器
への更新など
A補完措置として他者の「削減量」の取得(取引)
(1) 対象事業所が義務量を超えて削減した量
(2) 中小規模事業所の「削減量」
(3) グリーン電力証書の購入等 |
(資料:みずほリサーチ)
国に先駆けて排出量取引の導入を決めた東京都。首都圏の自治体は追随
するかに見えたが、足並みはそろっていない。
東京都の温暖化対策強化の総論は賛成だが、各論には慎重というのが、
近隣自治体の現状である。
(*内容はマイコミジャーナルレポートより一部抜粋)
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