■日本の地下水について
平均的な日本の「地下水」の水質は以下のとおり。
Ca+Mgイオン
22.4mg/L
塩素イオン 13.2mg/L
重炭酸イオン 47.6mg/L
その他のイオン 71.9mg/L
蒸発残留物
140.0mg/L
遊離炭酸 23.0mg/L
硬度 58.4mg/L
(その他のイオン)
硫酸イオン 5〜20mg/L
溶性ケイ酸 10〜100mg/L |
▼1989年度の水道統計の中から、
全国を11の地域に分け、首都圏、
北海道、沖縄を除いて各地方が
ほぼ10%のサンプル分布になる
ように地下水ばかり510個のサン
プルを抽出して整理したのが「日
本の地下水の水質」である。 |
日本の各地城の中で、地下水に関する限り沖縄県は飛び抜けて水質が他の都道府県と違う。
例えば、各項目の全国平均値と最高値との比較割台は沖縄を除くと2倍まで行かないが、沖縄
県ではこれが3〜4倍近くにもなる。よって、上の数値は沖縄県を除いた平均である。
■地下水の地域的な傾向について−
|
【北海道】 |
井戸水よりも伏流水と湧水が多い。蒸発残留物も硬度も低いが、特に硬度は
全国で下から2番目である。 |
|
【東北】 |
全般的にやや蒸発残留物が多いが硬度はそれほどではない。特に宮城県が
低い。塩素イオンは全般に低い。井戸の水源が6割を上回る。 |
|
【関東周辺】 |
全般に溶存物質が多く特に千葉県に多い。塩素イオンは平均よりもやや低く、
残留アルカリ度が高い。 |
|
【首都圏】 |
蒸発残留物はかなり高い。硬度は全国平均の1.6倍あり、沖縄以外では一番
多い。しかし、塩素イオンと残留アルカリ度は平均より低い。 |
|
【北陸・甲信】 |
蒸発残留物が比較的少ない。山梨を除き全国平均以下である。特に富山と
福井が低い。また塩素イオンと残留アルカリ度も低い。 |
|
【東海・中京】 |
全般的に蒸発残留物が低く、岐阜が著しい。水源の7割が井戸である。
|
|
【近畿】 |
域内差が大きい。蒸発残留物は大阪、京都、兵庫が高く他は少ない。硬度は
大阪を除き全国平均より低い。塩素イオンが高い。
|
|
【中国】 |
全般に蒸発残留物が少ない。他の項目でも同様で、特に鳥取、島根が少ない。
伏流水と浅井戸が比較的多い。 |
|
【四国】 |
徳島と高知、香川と愛嬢に二分される。成分は前者が高く、後者が低い。伏流
水が比較的多い。成分変動は少ない。 |
|
【九州】 |
蒸発残留物が比較的高く、福岡と鹿児島が著しい。その割に硬度はさほど高
くない。塩素イオンと残留アルカリ度も傾向は同じである。
|
|
【沖縄】 |
きわめて特殊で、全般に成分が多い。変動幅は少ないから全般的に成分が
多いといえる。水源は深井戸と湧水で特に塩素イオンだけが傑出しているわ
けではない。
|
(出所:「水のほんとの常識」)
上記はあくまで地下水に関してであり、水道水は地上水(表流水、ダム、湖沼水等)と地下水が
混在し、地上水と地下水とは画然たる区別があるため、私たちが日頃口にしている水道水はまた
異なるものと考えていただく必要があります。
■日本の水道水 |
|
|
水道水の中には、水道法の水質基準値以下ですが、トリハロメタンや
トリクロロエチレン、シマジンなどの有害物質、気になるカビ臭や残留
塩素などの「おいしさを阻害する成分」が 含まれていることがあります。 |
■水道水の味
水道水は、まず浄水場に水を溜めて、砂などの不純物を沈殿させ、その後、濾過処理して、
より細かい不純物を取り除き、塩素を入れて雑菌などを死滅させるという処理を施しています。
日本では、水道法で残留塩素の一定値が定められています。(水道水1リットル中0.1ミリグラ
ム以上の含有量)その塩素によって有害な細菌を完全に死滅させるためです。
しかし、この塩素が水道水の味を損ねる原因になっています。一般に水道水は、特有のカル
キ臭 がしますが、これは塩素自体の臭いではなく、塩素が細菌と反応することによってカル
キ臭が発生してしまうのです。細菌が多ければ多いほど多量の塩素を必要とし、カルキ臭も
強くなります。つまり水道のカルキ臭が強い地域は、それだけ水源の汚染がひどいとも言え
ます。
さらに、塩素は大きな問題を引き起こすことが指摘されています。水の中の有機物と塩素が
化学反応を起こすと、トリハロメタンという物質をつくりだします。このトリハロメタンを人が大
量に摂取すると、中枢機能低下、肝臓障害、腎臓障害などを起こし、さらには催奇形性、発
ガン性までもがあり、痴呆、イライラ、疲労、無気力の原因にもなると言われています。
それでも水道水の中に、O157など人体に直接影響を及ぼす細菌がいるため、現在できうる
最も安価で効果的な殺菌方法は塩素処理なのです。塩素を減らすためには、まず水源をき
れいにして細菌の量を減らすしかないのです。最近では、オゾンや活性炭を使った高度浄水
処理により、カルキ臭やかび臭を取り除いた、おいしい水もつくられるようになりました。
■異常に高い水道水の塩素濃度
塩素は安価で殺菌力が強く、効果も持続することから、
水道法により末端給水栓において遊離塩素を
0.1ppm(0.1mg/1リットル)以上保つことが要求されています。
これは、極端に言えば0.1ppm以上であれば幾らでもよいことを意味しており、
東京、大阪、神奈川等の大都市では地域により1.0〜1.5ppm、
他の地方都市においても0.5〜1.0ppmの高濃度の塩素が含まれています
(新しい水道基準によると、上限は1ppm程度との表現で
最大値を通知していますが、基準ではありません)。
一方、外国では水がきれいなこともあり、塩素が注入されていないか、
あってもほとんどの場合0.1ppm以下と規定されています。
日本の原水はかなり汚れていること、さらには浄水場において
急速ろ過方式が採られていることもあって、
水道当局は大量の塩素を注入し浄化に努めています。
その結果、世界でも類を見ない高濃度の塩素が水道水に含まれており、
諸外国と比較しても5〜15倍程度多いと考えられます。
水道事業は、水道法で、原則として実情に通じた市町村が経営するよう規定
されています。
普段口にしている水道水に関してもお住まいの市町村のホームページなどで
水質検査などが公開されています。
私たちの暮らしに欠かせない水道水。その“水質”についてもっと関心をもって
みませんか?
(※内容は「ジャパン・ウォーター・ガード」より一部抜粋)
|